スピラのみならず、異界すらも脅かす存在、ヴェグナガンが遂に墜ちた。 次世代を担う若者たちの手によって。 その要である娘は異界の深淵において祈り子と会い、思わぬ言葉を聞いた。 「彼に会いたい?」 彼女は2年前に消えた『君』にもう一度会いたいと願った。 そして・・・。 透き通る海の中、彼女らは遂に再開を果たした A:「無事に出会えたようだな。」 J:「おー。可愛いもんだねぇ。手ぇ廻すのも戸惑っちゃってまー。」 A:「あんたみたいに誰彼構わず抱きつくのもどうかと俺は思うが。」 J:「馬鹿タレ。俺のはれっきとした愛情表現なの!」 B:「とはいえ、ジェクトはちょっと強引過ぎとは思うけどね。」 J:「何だよブラスカまで。もうじき『お義父さん』と呼び合うかもしれない仲じゃねーかよ。」 B:「・・・・・・・・・。ちょっと飛躍しすぎじゃないのかい?」 J:「お?だって本人同士がその気ならそうなるだろうが。ユウナちゃん俺様んちにお嫁に来るんだし。」 B:「まぁ。もしそうなったとしてもユウナが幸せなら良いんだ。ただこう言った場合、 ティーダ君が私の家へ婿養子に来る、と言うのが筋じゃないの?」 J:「馬鹿言え! ジェクト様の息子が婿養子なんてカッコ悪ぃだろーが!!」 B:「格好良い、悪いの問題じゃなくてね・・・」 J:「ウチに来りゃ、『エースオブブリッツ』のお嫁さんで、この『キングオブブリッツ』の娘になんだぞ?」 B:「君こそ解ってないね。私の家に来れば『大召喚士ユウナ』の婿で、 この『大召喚士ブブラスカ』の息子になるんだよ?」 J:「変わらねっつーの。代わり映えしねぇ!」 B:「変わらなく無いさ。ユウナはね、シンを、まあ君の事だけどね、を倒してスピラに永遠のナギ節をもたらした。 そして今回の件ではヴェグナガンを倒し、スピラを一つにまとめたんだよ?」 J:「それはどう言ったって過去の栄光に過ぎねぇんだって。 これから前を向いていくんだったらプロブリッツ選手の家に嫁ぐってのはプラスだぜ?」 B:「それは君のザナルカンドの話。ここ異界もそんな感があるけど・・・。 あの子達が住んでいるのはあくまでスピラなんだよ。」 J:「だ〜か〜ら〜・・・」 A:「あんた達、肝心な事を忘れているんじゃないか?」 B:「『達』って事は当然私のことも含まれているんだよね?」 J:「あんだよ。」 A:「俺たちは全員、鬼籍入りしているんだ。死人だぞ?当人達が結婚の報告に来るとすれば、 墓前かグアドサラムの異界の入り口位だ。そこで一方的に報告を聞くだけになると思うんだがな。」 B:「・・・・・・・」 J:「・・・・・・・」 A:「当然のように新戸籍だろう? 誰の家に嫁ぐとか、婿養子とか全く関係が無いはずだが?」 B:「アーロン、君・・・。」 J:「アーーーローーーン。」 A:「ジェクトが嫁がどうだと言っている時点で気が付いていた。」 J:「てめっ!殆ど初めっから気が付いていやがったんじゃねーか!!」 B:「はぁ。やられたね。」 A:「二人とも見事な親馬鹿ぶりだな。しかしあんた達は自分の立場も可愛いようで。」 B:「そんなことないよ。私はユウナの事を一番に考えているからこそ!」 J:「俺様だってそうだっ!」 A:「・・・そう思うのならほっといてやれ。それが一番だ。舅がしゃしゃり出てどうする。」 B:「何だか今日は、もう君には勝てそうにないねぇ・・・。」 J:「今日のアーロンちゃん、物凄ーくムカツクんスけど。」 A:「たまには、な。」 A:「だが、黙っていればユウナは『エースオブブリッツ』の嫁で、『故キングオブブリッツ』の娘。ティーダは 『大召喚士ユウナ』の婿で、『故大召喚士ブラスカ』の息子で綺麗さっぱり収まるというわけだ。」 J:「ちっ。ホントに綺麗さっぱり丸めやがって。」 B:「本当に・・・。」 J:「まぁいいや。確かに当人たちの問題だからな。 ところで今晩からのメシ、どーするんだ?ティーダがいなくなって誰が作るんだよ?」 B:「あ。どうしようか? あの子が作るご飯が一番まともで美味しかったんだよね。」 A:「正に先の話より、身近な問題だな。」 B:「取りあえず、じゃんけんとか。」 J:「冗談だろ!ブラスカ、お前になったら食中毒決定だぜ!」 B:「ジェクト。君、喧嘩売ってる?」 J:「だったら味見して出せよ。それ以前に人間が食えそうな食材使えよな! 面白そうだからとかいう下らねぇ理由で恐っろしい物使いやがって。しかも自分は食わねんだし!」 A:「ジェクト。ブラスカは毎度味見はしてるぞ。」 J:「げっ。マジかよ! それでもあんなもん使うのか?」 A:「ああ。そしてあの味だ。」 B:「君たちとはゆっくりと話す必要があるようだね?」 J:「げっ!やべ! ブラスカがキレやがった!?」 A:「逃げた方が賢明のようだな・・・。」 J:「おv 珍しくアーロンちゃんと同意見v」 A:「ちゃん付けで呼ぶなと言っているだろう!!」 B:「穏便に話そうじゃないか。私がご飯作ってあげるから。食卓を囲んで。ね?」 J:「ナニ入れる気だよっ!」 A:「・・・遠慮しておく。」 「おかえり。」 ユウナがティーダに囁く。 「ただいま・・・。」 細いユウナの体を抱きしめて呟く。 新世紀の始まり |